あをによし

雪の轍のあをによしのレビュー・感想・評価

雪の轍(2014年製作の映画)
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斜めに座る人々。日本人観光客は朗らかに正面に座る。

やはり己が男だからアイドゥンに共感して女性からの非論理的で感情的かつ狡猾な立ち回りにげんなりしてしまう。もちろん男たるアイドゥンが歪な男らしさの獲得(富豪、花形の過去、知識人、大成せず、事象物書き、寛容さのひけらかし)を経た視点なので、公平ではない。だがこの作品は誰にも力点は置かれていない。妹のネジラは背中からアイドゥンを批判するのだ。イスマイルの暴力性の中の知性を逆説的な希望と見えた。