たますけ

アメリカン・スナイパーのたますけのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
4.2
「世の中には3種類の人間がいる。羊と狼と羊を守る番犬だ。」
冒頭、この言葉で始まる物語。
カウボーイだったカイル(実在人物だったのですね)が、9.11に衝撃を受けて番犬になろうとシールズに入ったところから、物語が展開していきます。
軍隊の訓練シーンでは根性モノかと思うくらいの罵詈雑言。このあたりまでは安心して見ていられましたが、イラクに派遣された瞬間から、異様な緊張感と独特の雰囲気にこちらまですっかり呑まれてしまいました。
映画にここまで呑まれたのは本当に久しぶりです。
たぶん、戦場では「羊」と「狼」と「羊を守る番犬」の境界線なんてなくなるんだ。
正義も大儀もきっとなくなる。
「お願いだ。武器を捨ててくれ。」敵の拳銃を拾って構えた少年を狙いながらカイルがつぶやく言葉がとても印象的でした。
アメリカ万歳のヒロイズム映画ではなく、それとは真逆の、アメリカの価値観を揺るがすような作品でした。
無音のエンドロールが哀しく、そしてとても怖かった。
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