このレビューはネタバレを含みます
人が人を殺すこと、また、その行為を繰り返すことがその精神を壊していく。クリスは、国を守るため、戦場の仲間を守るため、人を撃ち、それは神に説明できると言っていた。彼の最初の狙撃のターゲットは爆弾を抱えた子供で、それに成功する。彼がその後、繰り返し戦場に赴き、狙撃を行い続けたのは、それを正当化するためのようにも見えた。彼は心の奥底で、そこから逃げることは、自分が感じているその行為の罪や後ろめたさの証明になってしまうと感じていたような気がする。心の奥底にあるものと、それを抑えつけた上で、とってしまう行為との大きなギャップが、彼を壊してしまったのだ。そして、大きな悲劇であり皮肉なのは、そこから立ち直った彼が、同じように壊れてしまった者によって殺されることだ。
人の正常な心は、人を殺すようには出来ていない。しかし、それを行うことが心を壊し、壊れてしまった心がそれを行う。これが真実であるような気がする。
