けんさん

アメリカン・スナイパーのけんさんのレビュー・感想・評価

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)
3.9
割り切れない感情・・・
複雑な気持ち・・・

伝説のスナイパーであったアメリカのヒーロー、クリス・カイルを讃えた作品である一方、戦争がもたらす直接的且つ間接的な「死」と「苦しみ」が影を落とす作品でもあり、実話であるが故に、余計にその思いが強くなる。

やはりクリント・イーストウッド監督の作品は重い。

戦場のシーンは、本当の戦地にできるだけよく似た場所を探し(モロッコ)、またクリス氏の同僚が実際に軍人役として出演している点など、リアリティさをとことん追求しただけあって見応えがある。

また主人公クリス扮するブラッドリー・クーパーの役の作り込みが本当に凄い。

クリス氏ご本人と並んだ写真がネットでも公開されているが、そのクリス氏に決して引けを取らない軍人さながらの驚異的な肉体改造に役者魂を感じさせてくれる。

先日「アリー」を鑑賞したばかりだったので、同一の人物とは思えないほどの変貌ぶりには驚いた。

戦争が伝説のスナイパーを生み出し、戦争の傷跡が伝説のスナイパーの命を奪う。

この結末には「皮肉」なんて言う言葉だけでは片付けられない、重くて、切なくて、悲しい後味を残す。
けんさん

けんさん