ちょっとレビューもコメントも難しいなこの映画。
160人以上のターゲットを殺した、ある意味英雄でもあるスナイパーを描いた物語。
ブラッドリー・クーパーが役作りで20キロ程体重が増えるまでトレーニングしてアカデミー賞にノミネートされた事も話題になった。
スナイパーのありかたについてマイケル・ムーアがネットで批判したりと場外乱闘が騒がしかったのも覚えている。
主人公はPTSDにかかりながらも任務を全うして退役後に同様にPTSDに掛かった退役軍人に殺されるという、なんともコメントが難しい死に方をした実在の人物で、作品としてとても難しいテーマに踏み込んでいると言える。
当時は日本にいても今よりずっと中東帰還兵のPTSDや心の病を原因とした衝動的殺人事件が沢山報道されていて、クリントイーストウッドらしい退役後のPTSDを中心に据えた厭戦的テーマでありながら、国家的英雄を戦争の華として描かなくてはいけない点がなかなか両立が難しかった様子。
英雄譚なのか反戦映画なのか少しわかりにくいが、退役軍人の後悔を何度か映画にしているイーストウッドなので、映画の方も反戦が根底にあるとは思うんだけどこのあたり少しぼんやりしている。
おかげで場外戦もなんだかわからない事になっていて、公開当時はめんどくさくてなんとなく観ないでいた。
あらためて視聴してもほんとに難しい、立場や情勢もあるので中途半端な映画でしたの一言では済ましにくいんだけど、時間がたってから観てもやっぱりちょっと歯切れが悪い。