ぶみ

私の少女のぶみのレビュー・感想・評価

私の少女(2014年製作の映画)
3.5
心を閉ざした私と、心を砕かれた少女。
     二つの痛みが出会い、希望にふれる。

チョン・ジュリ監督、脚本、ぺ・ドゥナ主演による韓国製作のドラマ。
田舎の港町に左遷された警察官が、虐待されている少女と出会う姿を描く。
主人公となるエリート警察官・ヨンナムをドゥナ、虐待を受けている14歳の少女・ドヒをキム・セロンが演じているほか、ドヒに虐待している継父・ヨンハとしてソン・セビョクが登場。
物語は、田舎町の所長として赴任してきたヨンナムが、ドヒに慕われ、一緒に暮らし始めたことをきっかけに、様々な出来事が巻き起こり、かつヨンナムが左遷された理由も解き明かされていくというサスペンス調で展開。
何はともあれ、日常的にドヒが虐待されているシーンは、思わず目を背けたくなるものであり、それを救おうとするヨンナムの背中をついつい押してあげたくなるのも当然なほど。
そんな中、頼る人がヨンナムしかいないドヒに対し、どのように対峙していけば良いのか戸惑いながらも距離を近づけていくヨンナムを、ドゥナが好演している。
また、皆悪いとはわかっていても、必要悪として見て見ぬふりをしてしまう妙な一体感や、余所者を排除しようとする田舎町特有の閉塞感は、日本でも其処彼処でありそうなものであり、他人事ではないところ。
クルマ好きの視点からすると、ヨンナムが乗っているのが、一見すると三菱のシャリオなのだが、韓国のメーカーであるヒュンダイ(現在、日本ではヒョンデ)のエンブレムが装着されていたため、何だろうと思い、後から調べたところ、ライセンス生産され、ヒュンダイ・サンタモとして売られていたとのことであり、妙な親近感が湧くと同時に、冒頭登場するトラックのフォグランプに加え、ラストシーンでのテールライトが、いずれも片側が切れているという何とも言えない整備不良率に苦笑した次第。
昨年公開された同じくジュリ監督、ドゥナ主演による『あしたの少女』でも、ドゥナが刑事を演じており、タイトルも似通っているため、繋がりがあるのかと思いきや、全くの別ものではあったものの、韓国が抱える様々な問題を盛り込んできており、終盤ドヒがヨンナムを助けるために取った行動が、何とも切なくてやりきれない一作。

怒ったら殴ればいいのに。
ぶみ

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