とんこつたろう

ラブストーリーズ コナーの涙のとんこつたろうのレビュー・感想・評価

3.4
我が子の死を受け入れ、悲しみを消そうとする夫 コナー。時の流れに委ね、悲しみが消えるのを待つ妻 エリナー。
共に同じ方向を見据えているはずなのに、プロセスの違いが軋轢を生み出していく辺りから男女の生々しい温度差が感じられる。
葛藤と向き合い、時間の流れに沿うような描き方をする男編に対し、女編では"幸せだったあの時"を意識して奔放に進行する。
上手に繋げれば1本の映画になりそうだが、問題解決における男女の在り方を徹底的に掘り下げるという意味では、観客側もその点を意識しやすい新鮮な試み。贅沢な実験映画といったところ。
視点が偏りがちな恋愛映画において、両者の苦悩を平等に描くのは非常に難しい。
最近では「テイク・ディス・ワルツ」や「ブルーバレンタイン」で成長できない大人たちが描かれてきたが、本作の違いは同じ未来に向かって一歩を踏み出そうと2人がもがく部分。
全編にわたりカタルシスは全開だが、どちらが悪者になるわけでもなく譲歩するような描き方は非常に好印象が持てた。