とんこつたろう

海街diaryのとんこつたろうのレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
3.8
外見では"ほっこり系ムービー"の形を取ってはいるが、『家族の事情』という体の良い言葉で隠れてしまう、人間関係のややこしさを根本に孕んでいる。
責任を回避しようとする大人を厳しく描くことにこだわる是枝監督の、その確固たる信念が本作でも炸裂して大変スッキリするシーンが散見。
しっかりしてても子供は子供で、背負わせて良いモノとイケないモノって絶対あるんです。彼は本当の意味での"大人の仕事"を映画という手段で世間に突き付け、私たちと子供たちの世界には線引きを示す場面も必要なことを伝えている。
広瀬すず扮する少女が15歳の子供として、青春を謳歌するシーンの何たる瑞々しいことか。子供たちの眼に映る景色の美しさを捉えることで、彼らの世界を見守ることがいかに尊いことなのかを改めて思い知る。
世の無責任な大人たちが、本作を観て子供にたくましさを強制する残酷さに気付くことを願う。