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ナショナル・シアター・ライヴ 2015「フランケンシュタイン」のBCのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

カンバーバッチ怪物バージョン鑑賞。

とにかくカンバーバッチの演技が凄すぎるという感想が真っ先に浮かぶ。
怪物そのものだった。
2人の俳優が回替わりでヴィクターと怪物を演じさせる演出の発想も
それに応える2人の俳優のバイタリティーも凄まじい。

日本のミュージカル版とは怪物誕生時の奇っ怪な身体の動きや
ヴィクターの衣装が似ている以外は内容的には別物。
前半は怪物視点で後半はヴィクター視点で対比させている印象。
炎や水を使ったダイナミックさはあるけど、物語は煽情的な描写は極力排除している。
ただ、無駄がない分、わかりにくい部分もあった(特に少年の存在意義)。

感情を制御することを知らないむき出しの怪物のほうが人間らしくて
本心を表に出さず創造してしまったことで全てを失っていくヴィクターのほうが怪物のようにも感じたり。
ヴィクターと怪物は表裏一体というかお互いの分身のようにも。

決着はつけず観客の解釈に委ねるラストは作り手が逃げているように感じてしまうので私好みではないんだけど、
この作品は辛すぎる気持ちをこれでもかとぶつけてくるので
結末をぼやかしてくれたことで救われた感もあったな。

最初のカーテンコールでキャストが登場する時、2人が一緒に登場したのが良かった。
W主演らしく対等な感じがね。
本編では役柄的に笑わないカンバーバッチだけど、
何度目かのカーテンコールでは清々しい笑顔を見せていて役と素のギャップが素敵でした。
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