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フレンチアルプスで起きたことのrurのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

北米版iTunesでレンタル。前にレンタルしたときはPCで購入して後でDLするとして他の機器で見ようとしたらDLできなくてPCでも期限切れという残念なことしたので今回は時間に余裕がある今日、AppleTVでレンタル。いきなり「このAppleTVは認証されていません」とのメッセージが出ておぶおぶしました。上段メニューの「レンタル中」からアクセスすると見れました。焦った。しかし途中で止めて続きを見ようとしたらまたエラーが出たので最初から見直すハメになりました面倒くさい…)
再生開始から24時間しか見れないのが残念です。プレステのサービスは48時間なのに!

フランス語主体で英語字幕大丈夫かなとどきどきしながらレンタル0.99$の安さに負けて。会話の半分ぐらい英語なのと、シチュイエーションにフォーカスした会話なので全然問題なく非常にわかりやすくて問題なかった!

めっちゃ面白かったー!

スキー大好きなので雪山にまずときめくし、公式サイトぐぐって知ったけど高級リゾートが舞台みたいで、見たことのない設備(雪避けのアーケード付ムービングロード)にときめくし、出てくるゴンドラかっこいいしリフトは微妙に不穏だし(全景が映らないからもしかしたら違うかもしれないけれどTバーJバーってことは、多分ないと思うんだけどよくわからないけど)物語の途中で男二人でエクストリームスキーしてるシーンがあるんですけどめちゃめちゃ気持ちよさそうで超羨ましいし、泊まってるのは巨大ロッジ風ホテルでめっちゃ居心地よさそうだし、少年が用を足しているトイレが謎めいてるし、えっと。そこだけで点数あがる。じゃんじゃんあがる。

序盤に雪崩が起きて、その雪崩はパパが言うとおりのスキー場が人工的に起こしてるコントロールされた雪崩であったことは間違いないんだけど力加減を間違ったのか雪煙が一家が食事していたレストランを襲ったからさあ大変! 泣き叫ぶ息子に余裕で微笑みながらその場にとどめさせていたくせに、やばい!となった途端にものすごい勢いで逃げ出すパパ! 家族をちらりとも見ないで他人を押しのけて逃げる逃げる!!

子供をかばいながら現場に取り残されたママは茫然…

もちろん襲いかかったのは雪煙だけだったので何事もなく客たちは席に戻り、パパもてへてへ笑いながら戻ってくる。しかしそこには徹底的に深いなにかの溝ができていたのだった。

この溝が絶妙で、最初パパだけ割れた向こう側にいるのかと思っていたんだけど、ママ|子供|パパ、みたいな構図になっていて、子供が徹底的にパパを軽蔑してるのかと思わせるような場面も最初のうちは結構散見したような気もするんだけど、主眼になっているのは夫婦の間の溝で子供たちは割と画面からはみだしていて主張してはこないんだけど、子供の目にはどう見えてるのかって示唆はしっかりあって、そこがパパの救いになっていたのが良かった。

ラストのほう、「俺だって俺の生存本能の被害者だ!(泣」っていうところで終わってったら綺麗だったのになーと思いました。男は無言でそういう役割を社会から要求されていて、自分も当然そうだと思い込んでいたので、自分の行動をなかなか認めることができないパパだったんだけど、認めたらもろくも崩れ落ちるんだけど、その弱さを露呈することによって家族に受け入れられる…ってすごい綺麗なシーンだと思うんですよね。

そのあとの母親を救うシーンは蛇足というか要らないのでは…そういうアメリカ映画的なエクスキューズというか癒しとか…そういうの要らなくない? ハッピーエンドで終わるのか意外だぁ…

なんて、そんな気分で見ていたら、さらにまだまだ続いて微妙なバスに乗ってしまって微妙に終わってしまって何だこれ…よくわからないことになって終わっていきました。ほかの方のレビューで、母親救出は自作自演の小芝居で家族ごっこをやりなおしはじめたんだけれど更なるピンチで夫婦が素に戻ってもう戻れはしない溝を静かに表現してるみたいなレビューを読んでぐぬぬ…と思いました。
パパ崩壊で終われば綺麗だったのに…(野々村さん扱いされていたしそれはそれでママに妥協の負担がかかってきて問題も大きいのかもしれないけれども)

途中の友人?夫婦が雪崩のことを聞いて、旦那さんを肯定するような彼氏の態度で奥さんが微妙な不信感を持ったり「私たちだったらどうなると思う?」で微妙な感じになってしまったりと、他人の問題や仮定で相手を疑うのはよくないよねみたいな問題提起も面白かった。

答えが無い命題だからこそどうとでも取れるように作っていて、しかもブレ的なものはなく「フレンチアルプスで起きたこと(雪崩から始まる家族間の微妙ななにか)」にフォーカスしてるのでとても楽しめました。面白かったです! 途中に挿入される謎の「あなたたちこのバーで一番イケメンって友達が言ってたわ!」「あ、ごめん人違いだってわお詫びします(わざわざ謝りに来る)」とか謎の裸パーティとか、謎のバス運転手とか謎なシーンも結構多かったけど、それ込で楽しかった!

フランスの映画なのかと思っていたら、出演者はノルウェー人とスウェーデン人で、主人公もどっちかだったので、フランス語だと思ってたのは別の国の言葉かもしれないですっていうかどこの国の映画なのかよくわからなかったです(上にスウェーデン映画だって書いてました)

そういえば子役は本当に姉弟だそうで、ユリイカみたいだなーと思いました。少年の雛みたいな目が印象的で、ベッドで眠っていても起きていても謎の存在感でした。
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