2010年代の韓国、ソウルを舞台に爆弾テロ犯との独占生放送中継の顛末を描く。ワンシチュエーションサスペンス。
没落から這い上がるために、テロ犯人を劇場型に仕立て上げて行く主人公という設定は中々良いですし、保身が故に窮地に追い込まれるという展開も良いのですが、人物配置や物事に要される時間経過などなどが、主人公を窮地に追い込むためだけに非常に都合良く展開していくので、そこに段取り感しか感じられず、まったく面白くありませんでした。主演の演技のおかげで最後までどうにか観られた感じです。
保身のために動き続けた主人公が最終局面でようやく人のために動くも時すでに遅しという、因果応報がテーマになっているので、富裕層、調子こいてるとお前らもいつかこうなるぞという告発ではあるのでしょうが、いかんせん庶民代表たる犯人も人物設計がブレブレなのでカタルシスは皆無です。
とにかく手数で勝負というタイプの監督ですね。
本国だと本広克行監督とか堤幸彦監督の感じです。
ちなみに本作のテロ犯の要求は大統領の謝罪。
犯行動機は社会構造への義憤。
隣と下ばかり狙うテロ行為が多発している国で暮らしている事が恥ずかしい限りです。ショボすぎて。
■監督・脚本：キム・ビョンウ
・撮影：ピョン・ボンソン
・音楽：イ・ジュノ
・原題：『더 테러 라이브』
