葛西ロボ

ある優しき殺人者の記録の葛西ロボのネタバレレビュー・内容・結末

ある優しき殺人者の記録(2014年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

 POV方式の全編ワンカット。タイトルからしてサスペンス。特にサイコホラーものかな?と思うが、見終わってみると笑みがこぼれてしまうほどの感動作(?)なるべく前情報を入れずに見るべき作品。
 日本人アベックの女性役がセクシー女優ということらしい(そうらしい)のだが、お色気シーンというよりR指定だからこそできることをけっこうぶっ飛んだ笑いの方向に振っているのでエロいというよりアブノーマルで面白い。やべえよこのカップル。
「素晴らしき哉、人生」はもちろん「ル・アーブルの靴磨き」も思い出す。両者とも誰かに優しくすることで奇跡が起こる話だが、この世界を支配する力の肩入れの仕方によっては、人を殺して起こる奇跡だってあり得るのだ。愛は信仰、信仰には犠牲がつきものという危うさの次元を超えて、純然たる人の願いを叶えてあげようという映画自体の優しさが沁みる。