国分蓮

海街diaryの国分蓮のレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
4.5
空気感がいい。というか透明感のある色調。
こういう色調、昔写真家の間で流行ったよね。
そして、まず作品作りが丁寧。とても細かいところまで作り込まれて描写されている。作り込まれていると言ったが、もともとあるあの海街近辺の風景を撮ったのかもしれないし、そうだとしたら俺の心が歪んでいる証左に他ならないけど。
一体自分はいくつの風景を見落としてきたのかとハッとする。

まずとは言ったが、これが為されてない映画は途中でリタイアしちゃう。
カメラ画角もごまかしが利かない広角寄りのカットが多い。
驚くほど多くのものが写り込んでいる。これは贅沢というものだ。
家にいながらにして旅が楽しめてしまう。
総じて鎌倉、江ノ島の情景を楽しめるだけで星5つ付けたい。
この邦画が評価されなければもう日本映画界は終わりだろう。
長澤まさみが俺の姉貴の性格まんまでリアリティがあって良い意味で引き込まれた。反吐が出た。笑
でも気になったのはセリフで
「あれ」が多いこと。
若い子はあれは言わないよねあんまり。
あれした…
あれで…
わりと言葉が出なくなる年配の方に多いんだけど…それとも方言の一種なのかな?
でもそんなのこの作品のテーマを目の前にしたらつゆほどもどうでもよくなる。
質感、いや湿感ともいうべき世界がそこに広がっている。
同じ日本なのに…ハリーポッターなどに見られるファンタジーの世界のような。

愛人を作った父ちゃんに逃げられたのに、長女である綾瀬はるかは所帯持ちの男に惚れ込んでしまう。あれほど父を毛嫌いしているのにも関わらず。
たったこの設定一つだけで作中のたわいもない数カットが俄然重くズシンと響きわたる。
是枝監督は考えましたね。
恐れ入りました。

自分も似たような境遇なんですが、この作品は嘘をついていません。
これが現実ですよ。

でも、切なくも拙いすずの台詞回しの中に広がっていく未来が見える。

未来が広がっていく映画。

過去のこと、自分の出自など一切を置き去りにして、ただ前に前に。
大きな可能性が広がっていくラストシーンの砂浜には全て、ほんと、全てがある。

詰め込まれている。

見始めにジブリっぽいなぁとニヤついていた自分が気恥ずかしい。