《透明感に溢れてる》
是枝監督は、時代の変化とともに多様化する家族のかたちを、優しく寛容な視点で描いている作品が多い。本作でも、複雑な間柄を持つ4人の姉妹が主人公だが、彼女たちに何があったのかという過去の詳細は最低限に留められている。その代わりに、姉妹や周囲の人々との間に確かに存在する絆が主題となり、外の世界とのつながりも含めた広がりのある家族劇になっている。家族がこの形に至るまでの経緯や過去の背景は深掘りされることなく、変わりゆくもの、そして変わらないものを、人生の摂理として静かに語りかけるような作品だ。
また、夏の雰囲気がよく似合う4人の姉妹のキャスティングは素晴らしく、全員が透明感に溢れていて、見ていて爽やかな気持ちになる。
劇中に登場する家庭料理も美味しそうで、四季折々の景観が映し出される映像美も印象的だった。