千利休

海街diaryの千利休のレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
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穏やかで、「歩いても 歩いても」ほどに発言の細部にまで気を使わなくて観れる本作。やはり本作の魅力は豪華4種盛りとも言えるヒロインたちになるだろう。だが、是枝監督が大衆ウケだけを狙ってつくった作品だとも思えなかった。「幻の光」の境界線を意識させる絵コンテが印象的に本作でも使われていたし、姉妹の会話に用いられる言葉の一つ一つが丁寧に吟味されているように感じる。とはいえ、白眉は広瀬すずの演技であろう。個人的にタレントとしての彼女に苦手意識があり、これまで主演作品を敬遠してきた節があるのだが、彼女の演技のなんと素晴らしいことか。素人の私には、神妙な表情と嘘くさくなさから生まれる説得力が凄いとしか言いようがないのだが、樹木希林が大絶賛したということには問答無用で頷けてしまう。原作はまだ未読であるゆえ違いは述べられないが、鎌倉への憧憬とスローライフの追体験、そして広瀬すずの演技力に圧倒されるためだけにでも観る価値はあったと思った。
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