持て余す

オートマタの持て余すのネタバレレビュー・内容・結末

オートマタ(2014年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

アントニオ・バンデラスって良い意味でも悪い意味でも少し大味なイメージだったのだけど、この映画ではとてもよかった。感情移入をしにくい個性を堅実に演じているように感じられた。

そもそも、この映画はとても地味。

太陽の影響で環境が悪化──からの人間の窮地を救うために作られたのがオートマタ。このオートマタには二つの原則があって、1)生物を傷つけてはならない。2)機械が自分自身を修理してはならない。という2原則。

有名なアシモフのロボット3原則が「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」なので、少しズレている。特に「命令への服従」という真っ先に盛り込むべきポイントが欠落しているのは、従順性が「当たり前だから」なのか、「この物語を成立させるため」なのか。

どうも後者の方に見えて仕方がないのだけど、その辺のメカニズムについては作中であまり語られていないように思った。自己修復がいけないことだというのは繰り返し語られるし、根幹に関わっているポイントでもあるけれど、曖昧なままというのは少しズルい。

メインテーマは地球の覇権を握る種族の交代というところなのだと思うけど、序盤のサスペンスシーンでも中盤の放浪するシーンでも誰も肝心なことを言わないから、終盤でそうした話が出てきたときに「ああ、そういう話だったんだ」というズレを感じてしまう。

便利な道具から意思を持った個に変貌するロボットたちに比べて、人類代表の不甲斐なさがすごいし、ロボットはロボットでぜんぜん話が通じない。その割に主人公を連れ歩く。主人公は主人公でなにかに突き動かされているようだけど、その説明もない。その辺りのいちいちが見ていて少しストレスになる。

ハリウッドの明快さばかりが正義ではないとも思うけど、説明不足や語りの順番の誤りで解りにくいのは違うと思う。解らないから面白いという作品もあるけれど、AIや人間とロボットという内容であれば、ある程度の明快さは必要。

ゴキブリロボットの造形はかわいいと思いました。
持て余す

持て余す