なんて切ないお話…
初チャン・イーモウ監督作品。
優しいとの作風イメージは持ってたけど、なるほど!優しい。テンポも音楽も光さえも優しさで溢れていた。
文化大革命によって引き裂かれた夫婦、いや家族の物語。時代が引き裂いた夫婦の愛という意味で、刺激される感情のツボは『ひまわり』に近い。けれど更に切なくて辛くて、また尊い。
なんと言っても記憶を無くした妻役コン・リーの圧倒的な演技に惹き込まれる。目線、表情の変化、感情の機微… 繊細で壊れそうだった。そして、寄り添い支え愛し抜く夫役チェン・ダオミンの姿に涙する。(インテリっぽい雰囲気も素敵。)
更には、娘を演じたチャン・ホエウェンの思春期ならではの取り返しのつかない行動、その後の葛藤が痛々しい。真っ赤なドレスとダンスシーンが印象的で作品のアクセントにもなっていた。
妻、夫、娘、3人それぞれの心情と愛情があまりにも絶妙に絡む脚本は唸るところで、定番を覆す予想外のラストには心が震えると共に愛の深さを見せつけられた。
感涙必至作品だった。