マーくんパパ

妻への家路のマーくんパパのレビュー・感想・評価

妻への家路(2014年製作の映画)
3.8
文革の粛清で右派分子として捕らえられた夫、その影響で目指した国立バレリーナの道を諦めた娘、夫の帰りを待ちわびてとうとう心身荒廃し夫の姿を忘れてしまった妻。恐るべき暗黒史から半世紀以上、形骸化させない為にもとチャン・イーモウ監督が敢えて選んだ題材。かつて小説「ワイルドスワン」を読んだ衝撃思い浮かべながら序盤部分は観ていた。20年経ち名誉回復して帰省出来たが妻は自分を夫と認識出来ず、今でも唯一の心の拠り所の連絡文「5日に帰る」だけを信じて駅の出口で夫の名前書いたプラカード掲げて待つ。壮絶な苦難を舐めたであろう空白の20年間の描写が省略されている為、愛を失ったメロドラマ風に見えてしまうのは残念。そこを書き込むことを躊躇わす中国の今でも残る統制の恐怖が透けて見える作品でした。