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虐殺器官のバインドーのレビュー・感想・評価

虐殺器官(2015年製作の映画)
3.5
テロが横行する時代、人類は政府の徹底的な管理システムの下に置かれていた。アメリカの特殊部隊に所属する クラヴィス大尉は紛争地域を飛び回り 暴動やテロを鎮圧する日々を過ごしている。そんななか大尉の元にある極秘ミッションが舞い込んでくる。虐殺王の異名を持つ男 ジョンポールを止めること。クラヴィスはジョンを追うこととなり 深い闇を目撃する。

言語が人の思考にある程度 関係していると研究では結論づけているらしいのですが、その言語をこうまでして 人間のエゴの凶器として使用する 世界観はあまり見たことがなかったと思います。発想が面白い!
人類のあらゆる歴史観は暴力によって構成されていて その行為はある文法によって導かれているとジョンは言う。
それを行使することで 人間の世界を二つに分けることが出来ると。

たしかに こんな方法で虐殺を誘発出来れば理想的この上ないし 報復もなくテロを終わらせられるわで 御の字ですよ。それに功利的に考えれば正しい事のようにも思える。でも やっぱり 一歩踏みとどまって物事を考えてみると いつも通り 人間のモラルや善意にぶち当たってしまうんですよね、切り捨てられる命や付随的障害を被る人々も出でくるわ、どのような選択にしても 人類を間引きしようとする者にはそりゃ苦悩が付きまといますわ。現代社会が複雑になればなるほど哲学的な議論があとを立たない中で 今世界でもこうした選択を迫られている人がいると思うと なんか悲しい。人類の最大幸福をとり 少ない命を犠牲にするか、それとも少ない命を救い テロを繁栄させるか、、アイインザスカイを見た時にも感じましたが、命の目方なんて決められないし選択というのはつくづくヘビーな作業だなと思います。
人間一人に何が出来る!!
とも思うけど、
やはり 人一人の情熱とかそういったものは凄いなと思わされる。なにかをしたいと思ったら もうその人を止める事は出来ないのかもしれない。ジョンが言うように”自分が出来ることを知ってしまったら もうそこから逃げる事は出来ない” それはこびり付いて離れない 脳の器官を支配する 呪いのようなものかもしれない。


作者がメタルギアソリッドのファンとも言うことで 世界観がそれに大変似ています。
人工筋肉やステレス迷彩 痛覚を麻痺させるナノマシンやら おなじみの武器やガジェットが盛りだくさんで 男子としては嬉しい限りでした!小説の方が面白そうなので いつか読んでみたいと思いました。
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