そーた

X-MEN:アポカリプスのそーたのレビュー・感想・評価

X-MEN:アポカリプス(2016年製作の映画)
3.2
及第点以上

子供の頃、海と川がぶつかる所で泳いだことがあります。

海水のしょっぱさが川の水で薄められて、なんとも微妙な味だったのを覚えています。

川は川の、海は海のそれぞれの良さがあって、それらが混ざりあっちゃうと互いの良さを食いあってしまう。

そんな、幼少の記憶がふと呼び覚まされてしまったような、ちょっと味気ない映画でした。

現代に蘇った古代エジプトの神とXメンとの戦い。

馴染みあるキャラが揃い踏みする今作。
決して面白くないわけじゃないんです。

ただ、少し中途半端な雰囲気なのが残念なんです。

過去の3作とリブートしたここ近年の3作。

明らかに作品のテイストが違いますよね。

過去作はアメコミ感が強く、キャラのコスチューム度が高いのでヒーロー物として妥当な印象。

打って変わって、リブート盤は近代史が絡む捻りの効いた作りにリアリティーを感じるシリアスな印象。

ジェームズ・マカヴォイやマイケル・ファスベンダーをプロフェッサーXとマグニートに配した点がかなり功を奏してて、
ヒーロー物であるのに加え演技面でも満足できるという点がひと味違う。

それで、今作ではだいぶ現代に時系列が進んでしまったので、これらの世界観をどうにか融合させようと苦慮しているように感じたんですね。

そこが却って互いの良さを薄め合っているように感じてしまうんです。

バリバリのコスチューム感であのアウシュビッツに集われても、正直ただの変態集団にしか見えないんですよね。

けっこうシリアスなシーンなんですけど。

ただね、見所は沢山あります。

エリックとチャールズの友情。
チャールズとモイラのロマンス。
ミスティークの苦悩。
次世代ミュータント達の生い立ち。

挙げていったらきりがないですね。

何よりも、あのポー・ダメロンがダークサイドに堕ちてしまうなんて!

だから、決して楽しめないわけではないんだけれど、でもどこか物足りないようなどっち付かずの映画。

及第点は超えているんだけど。

そういえば、限りなく薄い塩水を味わっていたら、不意に海水の本領を発揮されて驚いたのを思い出しました。

意表を突かれる面白さがこの映画にも確かにあります。

なんだか、やたら昔の記憶が呼び覚まされてしまったな。
セレブロで頭でも覗かれたのかも。

思わぬ映画とのリンクにニンマリ。
そーた

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