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沈まない三つの家のbombsquadsのネタバレレビュー・内容・結末

沈まない三つの家(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

20221005 自分用忘備録
喪失と嘆きを映画的にどう描くか、その表現にどう新しさを出してバリエーションを持たせるかという挑戦の映画だと思った。

3つの家族の喪失はオムニバス的でもあり、連続的でもあって、映画上つながっている。が、まあ、造作面のそっち方面はそんなでもない。工夫は凝らしているのだが、あまり気にして作っていない(気にしていたのならあまり成功していない 笑)。

それよりも「喪失」そして「嘆き」の映画的な表現の仕方だ。万引きの長いくだりでの遺棄された寄る辺ない空気感には惹きつけられた。青のワンピースを着るところもいい。父にさよならを言いたい娘の自己中心的な執着が迎えるある種の救済、その展開の意外さもとてもいい。

時間差でドンっと音だけで事故を表現したり、ひらりと飛び降りてみたり、骨壺を抱いてトイレで号泣してみたり、放尿してみたり、いろいろとやってみたかったことをやっている感じがいちいち嬉しく、魅力的だ。まあ、悲しみの話で嬉しいとか魅力的だとかいうのはなんだが、ありきたりにならないように作りこんでいる挑み方がいい。

なかで自分に一番響いたのはゴーグルを外すやありえない量の涙が溢れ出すところだ。「溺れちゃうよ」そして釣り竿が鳴る。

一発ネタであり、小ネタに近い。それだけに最上家の話は短いのだけれど、それでもやりたいと思ってやってみただけの値打ちがあるアイデアだったと思う。謎のゴーグル姿が見事に着地している。
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