味園ユニバースのムのネタバレレビュー・内容・結末

主人公の視点と映像がシンクロしており、観ていて非常に気持ちの良い作品。
どこか懐かしいと思わせる味園の景色も好きだが、何より序盤の廃れた景色からポチ男が居場所を見つけた後の、画面の対比に惹かれる。
そこに二階堂ふみの飾らない演技と、低いトーンで放つ関西弁がスッと入ってくる。

渋谷すばるに関してはジャニーズだからと期待していなかったが、下手どころか彼の演技は作風にバッチリ嵌っており、どこか退廃的で美しい。
歌声は好き嫌い別れる声質だと思うが、キーが高く張りのある声は薄暗いストーリーの中にメリハリをつけ、いい味を出しているのではないかと。

終わり方はあっさりしており、全ての伏線が回収された訳ではないけども、不快感は残らなかった。
初めて観た時は「ここで終わり？」と思ったが、今思えば後から見返したくなるような、いい切り方だと思う。
地上波放送された当時は、渋谷すばるの名前につられて鑑賞したのだが、彼のおかげで良い映画に出会えました。