千年女優

百円の恋の千年女優のレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
4.0
母親が弁当屋を切り盛りする実家に引きこもって自堕落な生活を送りながら32歳になった長女の斎藤一子。離婚で出戻った次女との対立から近所の百円ショップに務めながらの一人暮らしを始めた彼女が、問題を抱える店員とのトラブルや客のボクサーとの恋を経てプロボクサーを目指し始める様を安藤サクラ主演で描いた武正晴監督作品です。

周南「絆」映画祭で松田優作賞を受賞した足立紳の脚本を映画化して第39回日本アカデミー賞では最優秀主演女優賞と最優秀脚本賞を受賞したボクシング恋愛映画で、負け犬の人生ながらもそれでもある一瞬の輝きを、弛緩しきった身体をボクサーとしてのそれに鍛え上げて見事なファイトを披露する安藤サクラの熱演で感動的に描いています。

『ローラーガールズ・ダイアリー』で「スケートを始めたのは31歳。出会うのにそれだけかかったの。そのために這いずり回ったのよ」と言った敵役メイヴィンを主役にしたような物語は胸を熱くさせ、どんなに世界にボロボロにされ最後には負けるかもしれない人生であっても閃光指すパンチを見舞う鮮烈な瞬間があると感じさせる一作です。
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