尿道流れ者

百円の恋の尿道流れ者のレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
4.2
凄く良かった。序盤の奇妙なグルーブ感から、後半のスポーティーなノリまで楽しいこと尽くしだった。

顔も体も動きも冴えない中年女が爽やかな未来に少しづつ歩んでいく姿はとても良い。一生懸命頑張り、互いを称え合う尊さというスポ根物に共通する道徳が改めて素晴らしいものだと感じるし、どんな生活のどんな局面でも言わばそんな瞬間の喜びのためにあるように思う。認め合うこと、それを求めているし、自分自身を鍛えて素直に相手を認める余裕を持つことで自分と相手にある強さを意識し、先に進む唯一の方法論であるような。

うっとおしキャラがごまんといるが、全く嫌いになれない。なんかこの映画の雰囲気のせいか、オールオッケーな感じ。特に新井浩文の人見知りな感じには共通するところも多くて好き。自分からほんの少しぐいっといくものの、相手からぐいぐいこられると引いちゃうとことか、自分の行いは全く足りてないのに相手には自分を満たして欲しがってたりとか。

この映画の夜は凄く良い。とても良い感じに暗いし、それでいてきちんと眩しいくらいの光もさしている。主役の安藤サクラの状況にマッチしているし、映像としても心を揺さぶられる素敵さ。

肉を食べるだけで笑って泣ける映画なんてまずない。ラッキーパンチで終わらず、互いの努力の積み重ねが大きい現実的な面白味のある映画。クリープハイプの音楽がラストシーンにかかる演出はとても残念だったが、最後まで面白い映画だった。