黄泉比良坂

ベネディクト・カンバーバッチ ホーキングの黄泉比良坂のレビュー・感想・評価

4.5
☀️

“博士と彼女のセオリー”がきっかけでBBC版も視聴。

エディ版では、ホーキング博士の人間関係、彼に起こった出来事等が細やかに描かれているのに対し、BBC版は、彼の功績がメインではあるけど、それと並行してアーノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンの伝記が描かれている。
一見関係なさそうな、ホーキング博士によるブラックホールの理論と、アーノとロバートによるビックバンの余熱の理論がラストに繋がる場面は鳥肌が立ち、自然と涙が溢れた。

エディ版でも思ったが、どうしてホーキング博士を演じる俳優さんはこんなに演技が上手いのだろうか…セリフが無くても、指先の動き、足先の動きだけで心が締め付けられる。
物語が進んでいくにつれてALSが進行していく様子が、演技からはっきりと伝わってきて恐ろしい。
画面の向こうで、彼はいつも通りの優しい笑顔で「大丈夫だ」と言っているけど、観ているこっちは全然大丈夫じゃないんだよ…
結末を知っているからこそ、彼を待つ希望・絶望を考えてしまい、本当に辛かった。何度一時停止を押してしまおうかと思ったか…

“モーツァルトの最後の作品は未完成だけど、曲が途切れた後、続きが…彼の伝えたかった音が今の私たちにはっきりと伝わる。”
このシーンが凄くお気に入り。自分も少しではあるが続きが聞こえたように感じた。

BBC版の方は尺が短めなのもあり、スティーブン・ホーキングについての知識がある程度無いと置いていかれそうだと感じる部分があるため、”博士と彼女のセオリー”→”ホーキング”の順番で視聴するのがおすすめ。