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ベネディクト・カンバーバッチ ホーキングのJIZEのレビュー・感想・評価

2.7
主人公ホーキング博士が21歳の若さで発症するALS(筋萎縮性側索硬化症)を軌道にロジャーペンローズとの運命的出会い等を経て特異点の論文博士号論文を書き上げ難病生活と対峙する残酷な過程が鮮明に描かれ物語的にも充実していて良かった。自身の余命より数式や論文に没頭し無我夢中に人生を充実させる姿に共感でき同時に感銘を受ける。余命2年の宣告後でも,ホーキング博士の心情推移は余り垣間見えず現状を解消させる程の打開力は彼独特の感性とも合わさり感動的で良い。一方で,今作の製作年は現在から10年前以上の2004年とだけあってかカメラワーク等の撮影技法や場面毎の運び方プロット構成も使い古された古典的手法で作風理解でも決して容易ではなくカンバーバッチファンなら少なくとも楽しめ満喫出来る!!といった薄味な印象でした。中でも彼の痛々しくも現実を見据え前向きに論文作成に取り組む無我夢中感や五体不満足な体現演技が伝わりホーキング博士から見習うべき道徳的箇所は非常に多く感じた。

ホーキング博士のALS発症を機に難病に侵され少し自暴自棄気味に堕ちていく"衰弱感"も場面毎の深刻さや死に至る危機感を何重にも煽り悲観的に共感する。ブラックボードに寄り掛かり必死に数式を殴り書きする姿は本当に痛々しかった。冒頭から幕閉じまでで永遠と難解で入り組んだ物質や空間,時間を絡める宇宙/科学知識が各場面で多用され補助説明ほぼなしで物語進行を常果たす場面も各定理における理解には非常に苦しみ難物でした。例えば,神とビックバン理論の関係性や宇宙の起源,アインシュタイン矛盾解明等,完全に理解出来なくても抽象的に伝わり創造を煽る会話劇も作風の持ち味だと感じた。人生=時間をイコールで結ばず人それぞれ時間は動き縮小する事を熱心に紐解く場面は感動的でプロポーズする場面も結構良かったです。

今作の総評はあえて伏せておきます。今週末公開『博士と彼女のセオリー』の2部作まとめての総評価を予定。※鑑賞するかはまだ未定です。

従い,今作は『博士と彼女のセオリー』鑑賞後に対比させ違いを吟味し鑑賞する事をオススメ!若きカンバーバッチの体当たり演技は必見です!!数式や定理は想像以上に難解で心構えは必要!!今作是非,オススメです!!!
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