しろくま

はじまりのうたのしろくまのレビュー・感想・評価

はじまりのうた(2013年製作の映画)
4.0
2022.11.21/253/GYAO
レコードレーベルを立ち上げ数多くのアーティストを発掘しヒップホップブームを牽引してきたのは過去の話で、最近は仕事も家庭も上手くいかないダン(マーク・ラファロ)。

そんな崖っぷち音楽プロデューサーの彼がバーで歌うグレタ(キーラ・ナイトレイ)の曲を聴いて一発で気に入り、彼女を売り込むためにデモテープを作ろうとするが、スタジオを借りたり、ミュージシャンを集めたりするお金もない彼らが考え付いた録音のやり方がまさかの…。

NYのあんな所こんな所でのアポなしのゲリラ録音を決行するって凄すぎる。許可をとっていないのでお巡りさんに追いかけられながらの録音だが、街の喧騒とグレタの歌声がうまくマッチしていい感じの仕上がり。路上で遊んでいた子ども達がコーラスで参加したり、ダンの娘がギターの超絶テクニックを披露したりして、和気あいあいの録音現場。観ているこっちまでワクワクしてしまう。本作のタイトル〝はじまりのうた〟にぴったりの最高のシチュエーションでの素敵な歌と演奏。何かが始まる予感。

ダンとグレタが、スプリッターを使って互いのプレイリストを一緒に聴きながら夜のNYを歩くシーンもgood。流れる曲は、フランク・シナトラの〝Luck be a Lady〟、スティービー・ワンダーの〝for once in my life〟、そしてグレタが〝じゃあ次は、ありきたりだと思われるかもしれないけど、すっごく好きな映画の中の大好きな曲なんだけど、いい?〟と言ってかけた曲が映画〝カサブランカ〟の〝As Time Goes By〟。NYの街並みにマッチしたムーディな曲で、とってもお洒落。

原題は〝begin again(再び始める)〟。崖っぷち音楽プロデューサーと恋人と別れたばかりの売れない歌手の再起をかけた音楽活動の結末は…。
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