Yoshishun

ザ・レイド GOKUDOのYoshishunのレビュー・感想・評価

ザ・レイド GOKUDO(2013年製作の映画)
3.9
“脚本が致命的”

前作は1つのビル内でゴキブリ並に生命力に溢れ過ぎた敵共を殺人体術で仕留めていくスピーディーさが売りだっただけに、続編となる本作はややスローテンポな印象を受ける。本来監督が製作したかった内容は本作らしく、資金集めの一環として前作を製作したら予想外に大ウケしてしまったという訳だ。シラットアクション一点張り(と多少のガンアクション)だった前作からは作風がガラッと変わり、複雑な人間関係が絡み合う、というより無駄に凝り過ぎな人間ドラマとなっていた。

勿論アクションはやはり素晴らしい出来。シラットアクションをはじめ、カーアクションやバット、金槌、ガンアクションと盛り沢山。それでいて本作は最早スプラッターの領域かと思う程に血は噴き出し、肉は飛び散り、まるで人がゴミのようだ。おまけに誰かが傷つく度に阿鼻叫喚の地獄絵図で、骨が折れる音も律儀に、それも生々しく編集で追加されている。前作以上にグロテスクで痛みの増した『ザ・レイド』に固唾を呑むしかない。

それだけに展開が行き当たりばったりで、かつヤクザとマフィアの抗争ぐらいに絞ればいいのに変に設定を捏ねくり回しており、無駄に間延びしている。146分と長尺ながらも確実に削れる描写はあるし、ドラマパートに尺を割く関係で、変にアクションが途切れ途切れになっていて歯痒い。ここからさらに来るぞ!というタイミングでシーンがぶつ切りとなり、別のカットに切り替えるのが非常に勿体無かった。また、潜入捜査官としてのラマの葛藤、もう一人の潜入捜査官や兄弟分との友情と尺が長い割には描写不足な部分もあり。

また本作のバットマンとハンマーガールはキャラが濃いだけに、日本ヤクザ組3人衆は日本刀持って参戦とかは一切なし。おまけに音質のせいでよく聞き取れないエンケン、終始軽い感じの松田龍平、電話でオドオドな北村一輝と完全に世界観にマッチしておらずノイズになっていた。これなら登場しない方がまだマシだった。

どうやらセル盤Blu-rayがR18+指定版らしく、日本公開版では泣く泣くカットされたバイオレンスシーンが追加されているとのこと。確かにバットマンの最期やヘッドショットも違和感あるカットになっていたし、その部分が映されているのかと予想。どちらにせよドラマパートはカットされてないだろうが。
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