『処女ゲバゲバ』は荒野が密室へと繋がっていたが、今作では原宿セントラルアパートの屋上が密室と化す。ママ、僕出かける、の印象的なテーマソングがいつまで経っても耳にこびりつくが、同時に返り血に塗れた秋山道男の姿も瞼の裏に焼きつく。道男は未知汚であり未痴汚である、汚れを知らぬし、痴態を知らぬ。彼の目の前で少女は二度目の輪姦に見舞われる、が彼女は未だに処女である。屋上でたなびくシーツの白、膣から流れ落ちる赤、真っ赤に染まりニヤリと笑う未知汚、目覚める、目覚めない、目覚めるとき、目覚めれば、目覚める、目覚めろ、目覚めよ、「目覚める」の五段活用詩。人が死ぬのには理由がいる、人を殺すのにも理由がいる、だから二人はそのマンションの中で宝探しをする、そして目覚める。精通を果たせずに、純潔を守りながら、理由を見つけた二人は塀を飛び越え旅に出る。ママ、僕達は出かける、そこに着くまでに、一体何秒かかっただろうか。これはきっとこの街の風景の1ページ、そしてそんな時代の1ページでもあるのだろう、そこは屋上、出口のない密室、けれども朝になれば、出口もきっと開くだろう。