まっと

岸辺の旅のまっとのレビュー・感想・評価

岸辺の旅(2015年製作の映画)
-
これ好き…………この生者と死者の距離感、このお化け、好き……

降霊やダゲレオタイプの女の物理お化けたちは「あってはならないもの」であることが全面に押し出されていて、それが恐怖なんかに繋がるのですが、本作は「あってはならないもの」にすら「ちょっとはあっていいんじゃない」の優しさがあります 途中で宇宙の終わりについての挿話がありましたが、物事の、ていうか命の終わりがいきなりであるなんて、確かに信じられないな みんな浅野忠信であるべきなんじゃないかな 「この時間があったら」の切実な思いと「でもやっぱ行かなきゃ」の諦めが、とても胸に迫ってきた

多分生前はここにいられないと思うようないろいろがあったから浅野忠信はいなくなったわけで でもこうして死人として帰ってくると二人は穏やかで良い関係を築けている 死人旦那(二人目)にブチギレたように、浅野忠信の遺された人への愛情は深くて強くて真っ当だ
でも、それでも二人は生きてるときには生きたまま一緒にいられない二人だった

死にでもしないと優しくなれねえとかそんな極端な話ではないですし実際深津絵里が死んだ旦那の生前の行いに怒る場面もあります 普通にずっと二人で良い関係のまま寿命を全うして死んでいくって鬼難易度なんじゃないかな だから死んだあとのロスタイムがほしい、ほしいからこの映画に焦がれる、そして誰かが不在の世界で生きてく

好きだなあこれ 旦那も化けて出て父親も化けて出るのは少し笑った
まっと

まっと