まいこ

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のまいこのレビュー・感想・評価

3.5
「バベル」「21グラム」など、シリアスな人間ドラマで高い評価を得ているメキシコのアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督がダークファンタジーに挑戦。第87回アカデミー賞では同年度最多タイの9部門でノミネートされ、作品賞、監督賞を含む4部門を受賞した。「バードマン」というヒーロー映画で一世を風靡した俳優が再起をかけてブロードウェイの舞台に挑む姿を、「バットマン」のマイケル・キートン主演で描いた。

かつてスーパーヒーロー映画「バードマン」で世界的な人気を博しながらも、現在は失意の底にいる俳優リーガン・トムソンは、復活をかけたブロードウェイの舞台に挑むことに。レイモンド・カーバーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、演出も主演も兼ねて一世一代の大舞台にのぞもうとした矢先、出演俳優が大怪我をして降板。代役に実力派俳優マイク・シャイナーを迎えるが、マイクの才能に脅かされたリーガンは、次第に精神的に追い詰められていく。

A man becomes a critic when he cannot be an artist, the same way that a man becomes an informer when he cannot be a soldier.

当時流行っていた超能力ヒーローたちの作品と比較されている評価がまわっていたのを覚えているが、メタ視点での比較対象だとは。受賞レースで好感的なのも理解出来る。映像作品に対する舞台劇の高尚さ(とみなされているもの)や、その界隈の独特の空気感、ハリウッドやそれに等しいものに身を置いている人たちの持つ危機意識。長回し風とはいえ何時カットが入っているのか、意識しないと分からないくらいに違和感がない。
マイケル・キートンも同じような気持ちになった瞬間があるのだろうか、エドワード・ノートンも少なからず同じ境遇にあったことはあるのだろうか、と役者あるあるつめつめセット(本作の出来事)を当てはめてみてしまう、色々と挑戦的だよな。

※この記録は全てフィクションです。
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