TaroSonoda

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のTaroSonodaのレビュー・感想・評価

4.0
去年から楽しみにしていた作品です。過去に「バードマン」という映画で1度はスターとなったが、その後落ちぶれてしまった男がブロードウェイで再起しようとする映画。主演はティムバートン版「バットマン」でバットマンを演じたマイケルキートン。エドワードノートン、ナオミワッツ、エマストーンといった実力派俳優が脇を固めます。

まず、誰もが注目する全編ワンカット編集。撮影が「ゼロ・グラビティ」の撮影監督とのこともあり、やはり天才的かつ幻想的です。このシーンはどうやって撮ったのだろうってシーンの連続でした。ハンディカムによる主観ショットや大胆なクレーンショットなども影に埋れてますが、凄まじいです。CGによる特撮も作品のテーマ性と深く結びついていてとても効果的だと思いました。撮影賞受賞は誰もが納得の結果でしょう。

内容について言うと、基本コメディなので単純に笑えるし面白いです。ストーリーの伏線回収、キャラクターのアンサンブル、主人公の葛藤などが丁寧に描かれており、密度の濃い物語になっています。長い時間をかけて練りに練ったんだなぁといった印象を受けました!
また出演俳優のある種の自虐ネタやハリウッドに対する風刺もセリフも映画好きにはたまらないと思います。この業界的な会話シーンもこの物語のある種大きな魅力ではないでしょうか。
これだけ多くの要素を盛り込んでいますが、話の展開は良いテンポで、まったく飽きません。むしろ2時間近くの上映時間はあっという間でした。良い映画には良い脚本が欠かせないと再度強く実感しました。(脚本賞も受賞してますしね)
BGMとして流れる即興的なドラムも良いアクセントを生み出しており、作品自体にスマートな印象を与えます。とにかくOPからカッコイイ…!

そして、問題のラストシーンですが、僕は肯定的に捉えました。でも色々な解釈が出来るし、どれが正しいとかはハッキリ分かりません。
やっぱりこの監督は、良い意味で後味が悪い作品作るのがホント上手いですね(笑)
ただこの作品を観て、僕は人生について色々考えさせられました。インタビューで監督も言ってましたが、人生はこの映画の様にワンカットだと言えます。ですから、ラストはどうであれワンカットの人生を、舞台という新たな場に賭けた主人公の熱い思いは、胸を打つものがありました。
また自分に子供が出来て50代になってこの作品をみたら新たな発見があると思います。

あらゆる謎と小ネタが多い映画なので、また何回か観たら自分なりの解釈が確立するのかな(笑)

そんな不思議な映画でした!
アカデミー4部門に輝いた傑作です!オススメです!!
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