このレビューはネタバレを含みます
曲がりなりにも演劇の世界を知っている自分からするとこの物語に対して他人事ではないようなリアルを感じた。
主人公は輝かしい過去の栄光である″バードマン″を忘れられずひたすら自分自身と対話し、特別な人間になれない(なれていないと思い込んでいる)事に関してフラストレーションを溜め込んでいる。
物語終盤、彼は劇中で本物の銃を使いスーパーリアリズムという新しい演劇の様式を生み出したが、あの瞬間彼はまさに生きていた。
頭に放った拳銃が鼻に命中したのは彼自身がバードマンである事を示唆しているのではないだろうか。
重傷を負ったが伝説となった彼は病室にあるトイレの便器に腰掛けているバードマンに対して消え失せろと言い放ち、次のシーンで彼は飛び立ってしまう。
きっと、彼自身が本当の意味でバードマンになれた事を心の底から喜んでいたのだろう。
隣の芝生は青く見えるとはよく言ったもので、結局は自分には無いものを探し求めて目の前の幸せに気付けていないのだなと感じた。