カネコ

間奏曲はパリでのカネコのレビュー・感想・評価

間奏曲はパリで(2013年製作の映画)
3.3
個人主義の国フランス🇫🇷
結婚という形をとらず事実婚のカップルも多い。パートナーの浮気にも比較的寛容で実際浮気する人も多いらしい。
フランス人女性の47%が不倫は受け入れられないと言っているけどこれはアメリカ人の84%と比較すると大分寛容。
日本人も芸能人の不倫に関して見るとかなり厳しい。

フランスのマクロン大統領の妻は中学校の恩師で25歳年上。しかも当時彼女は既婚者だったらしいし、ミッテラン元大統領は愛人について記者から質問をされた際に「エ・アロール(それがどうした?)」と答えている。

そんなフランス人の恋愛観が詰まった今作。
主人公ブリジットはノルマンディーで畜産業を営む夫グザヴィエと暮らしている。
飼っている牛がデカい。シャロレー牛って言うんだ🐮
こんな立派な牛見た事無かったから別の生き物かと思った。
そして田舎で畜産業しているようには全然見えないイザベルユペールのスタイリッシュさ。
ブリジットは子育ても終わり夫と2人の穏やかな毎日を過ごしている。
平穏だけど退屈な毎日に変化をつけようとするブリジットに対し夫グザヴィエは変化を嫌い、そんなブリジットを揶揄するような態度。数年前にはこっそり浮気をしていた。

そんな小さなストレスの蓄積からか胸に治らない湿疹が出来ているブリジット。
グザヴィエにパリの皮膚科にかかるのを勧められるがブリジットは自分が外出中の牛の世話が心配。その時にグザヴィエがブリジットなんていなくても大丈夫だと言う。
ブリジットの事を思って言っているのかもしれないけどこれはブリジットにとって突き放された気分になったんじゃないかな。

息子も独り立ちして夫には仕事でも女としても遠ざけられて自分の立ち位置が不安になる気持ち。

そんな中で隣の家のホームパーティに呼ばれ息子ほど年下男性にアプローチされる。
そりゃこれだけ美しかったら惹かれる年下男性もいるでしょ。
そしてこれをキッカケにブリジットはパリで自分を再確認して取り戻す小旅行に出る。

ホームパーティで会った青年スタンはパリのアメアパで働いてると言ってたのでその情報だけでアメアパをハシゴして探すブリジット。その日スタンが休みだったらどうしてたんだろ。
アメアパキャットストリートにもあったね。懐かしい。

結局スタンはろくでもないやつだった。
思えばホームパーティでも最後に魔法の薬持ってくるとか言ってたし🚬

ホテルで会ったデンマーク人のイケおじ歯科医ジェスパー🦷
あーこの人は常習犯だね。このウインクの上手さ。
毎回パリ出張で楽しんでるよ。日本にもいるよ。京都とかに。

観覧車のシーンはローマの休日みがあった。
猫のショー失敗する緩さが可愛い🐈

ブリジットの嘘に気づいてパリに行くグザヴィエ。ノルマンディーからパリまで車で2時間半程らしい。
いざ自分の妻と知らない男が楽しそうにしているの見るとショックを受ける。自分もやってたのにね。

オルセー美術館でグザヴィエが買ったポストカードは、チャールズ・スプレイグ・ピアースの「羊飼いの少女」。

動揺したグザヴィエが息子の所に行き、息子のトランポリン芸を見るシーンはなんだか切なくて胸に来るものがあった。

「きっと不安なんだ。元の関係に戻れるか、自分に資格があるのか」
「もちろん、あるわ。何も変わってない、すべて元通りよ」
体調の悪い牛について話しながら自分に重ね合わせるグザヴィエが切実。

ひとつの夫婦のそれぞれの思いがきちんと描かれていてお互い乗り越えてというか飲み込んでまた夫婦という形に戻っていく。フランスらしさが垣間見える作品だった。
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