麩

マイ・インターンの麩のレビュー・感想・評価

マイ・インターン(2015年製作の映画)
3.2
新年3本目、といっても公開当初に映画館か飛行機かで観た記憶があるのでこの作品は鑑賞2回めだけど
当時高校生だったから「う〜ん、すてき」くらいの読後感だったけど今見るとものすごく沁み入る…
気軽に観れてハッピーになれるやつ観たいな〜とチョイスしたけど記憶してたよりずっと良くて、いま観て正解だった

ロバートデニーロ演じるベンが、いわゆる「理解のある彼くん」的すぎるなぁという引っ掛かりはあるけれど、でも
映画はファンタジーだ ということも
つらい現実を癒してくれる美しいまやかしが人生には必要だ ということもわかるようになった。私ももう大人だから…

1年半前に立ち上げたファッション通販サイトが大ヒットしていて専属の運転手がいるほど稼ぎがあり、
理解ある夫が主夫として家事育児を行ってくれて
かわいい娘も自分によく懐いて素直に育っている、全てを手に入れているかのようなアンハサウェイが
あの人を失ったら私は次がないかもしれない、
あの人は他の誰かと付き合うと思う、でも私は難しい人間だから孤独に死んでいくことになるかも、彼を他の誰かに渡したくない、と涙を流すところ、
自分のしょうもない人生が何故か癒されて泣きそうになる
アンハサウェイほどの美貌があり仕事に結婚に大成功しててもあんなふうに悩み、男のためにキャリアを諦めようかとまで思うんだあ、と、
いや、全てファンタジーなんだけど、

ホテルでベンとジュールズが語り合う夜のシークエンスが本当に好き
アンハサウェイが辛い気持ちを吐露して涙を流す一連のお芝居もよいし
(こんな時に彼を庇い、優しくて素敵な男だと自分にしてくれたことを連ねるジュールズ、そのあと「君は僕のお姫様だ、美しくて素晴らしい」と歌う男前の俳優の声を聞きながら眠るジュールズ、18日間も1人で気丈に振舞っていたジュールズ…)
その後にロマンティックなお伽話を観ながら眠りにつくアンハサウェイの姿に涙が込み上げるロバートデニーロが、たまらなく良い
ベンのこのやさしさというか、人を慈しむことのできる姿、たまらなく、良い


やっぱりベンはジュールズ側に都合の良すぎるキャラクターだなぁ…こんな人間いるか!?って思うけど、
それでも年齢も性別も超えた愛情と信頼がお互いにあって
父と娘のような上司と部下で、友人っていう関係性の美しさがとても羨ましかった
「私が辛い時にベンのような人が居てくれたらなぁ、居てくれるだろうか」と悩むのではなく
「自分はベンのように、いつまでも惜しみなく人に与えられる人間で居られるだろうか」と悩む人間であろう と思ったな
麩