福福吉吉

シークレット・ミッションの福福吉吉のレビュー・感想・評価

シークレット・ミッション(2013年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
北朝鮮の特殊部隊のエリートのリュファン(キム・スヒョン)は韓国にスパイとして潜り込み、知恵の回らない馬鹿者の「ドング」として雑貨屋の店員として住み込んで、次の指令を待っていたが、2年経っても音沙汰がなかった。やがて、同じ町にリュファンと同じくスパイとしてヘラン(パク・ギウン)がやって来る。

◆感想◆
前半は完全にコメディでリュファンは真剣にやっているのだが、周囲からは純粋な馬鹿者でしかない姿がとても面白いです。それが後半になるとシリアスな展開に見事に移行していき、観ていて切なくなってきて、心に来るものがありました。

リュファンは北朝鮮のエリートとして優れた知恵と運動能力を持っており、素顔はかなり真面目な人物です。そのため、馬鹿者を演じるのも真剣そのもので、なにもないところで転んだり、野グソしたり、子供たちにいじめられることを任務としてやっています。心の声と外見のギャップがとても面白かったです。

リュファンの暮らす町は本当に小さなコミュニティで近所全員が知り合いという昔ながらの田舎町という感じがして、観ていて気持ちがほんわかしました。

その町に後日、リュファンのライバルであるヘランがスパイとしてやってきます。彼はカッコ良く生きてカッコ良く死ぬことを望んでおり、最初はいけ好かない感じの人物なのですが、それがストーリーが進むにつれて、憎めないキャラクターに変貌していきます。

ストーリー後半になると前述のとおり、ドラマが一気にシリアスに移行しており、リュファンたちの心情の揺れ動きと秘めた思いが心に突き刺さるようになっていきます。当時の国の情勢をしっかり絡めていき、予想のつく展開ながらその予想が外れて欲しいと思ってしまいました。前半との落差が本当に面白かったです。

予想外に面白くて、観て本当に良かったと思います。

鑑賞日:2023年9月5日
鑑賞方法:CS KBS WORLD
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