キミシマユウキ

ザ・ウォークのキミシマユウキのレビュー・感想・評価

ザ・ウォーク(2015年製作の映画)
4.2
1974年、世界一の高さを誇るワールドトレードセンター。その高さ411mをワイヤーロープ一本でつなぎ、命綱なしの空中闊歩にある一人の男が挑んだ…

昨日2015年10月21日の日付で映画ファンを騒がせた『バックトゥザフューチャー』シリーズのロバートゼメキス監督最新作。
実際にワールドトレードセンターを綱渡りした命知らずの男フィリッププティが題材。
主演は『500日のサマー』のジョゼフゴードンレヴィッド。
東京国際映画祭のオープニング作品として3Dで鑑賞。


正直この映画をなめていた。
観る前までは

「綱渡りするだけの映画とか何が面白いんですか(笑)」

と期待もせずハードルも下げていてまぁ好きな映画監督と主演俳優だし映画祭だから観ておくか、くらいのモチベーションで挑んだのだがこれは驚愕だ!!
これはただの綱渡り映画なんかじゃない!夢を強欲に追い続ける男とその仲間たちの熱いサクセスストーリーだった!
もう序盤からお洒落な構成で心を持ってかれた。
主人公のドヤ顔なナレーションから始まり、フランスパリでのシーンはモノクロ調に一部ヴィヴィッドな色彩を足した映像。
他の方が言った通りまさに映画『シンシティ』の時の斬新な映像表現と似ていると思った。もちろんこちらの映画では誰の首も飛ばないから安心して頂きたい。
そこからワールドトレードセンターに魅了されてしまった主人公が命がけの綱渡りをするまでにかけてが軽快なテンポと音楽で進んでいくので120分があっという間。
そして見せ場でもある綱渡りのシーンは手に汗握るなんてものじゃなかった!!!
高いところに立つと別に高所恐怖症じゃなくても、下腹部が圧迫されるというかアソコがヒュンッっとなるなんとも言えない感覚があると思うが、それをまさか映画で疑似体験できるとは思わなかった。もう彼が進む一歩ずつ息を止めて目を見開いて見守っていたので隣に座ってたおばさんが自分を見たら爆笑していただろう。劇場にいた誰もが

「もういいから!!早く降りて!!!お願い!!」

と懇願していただろう(笑)
恋愛・チームワークなどの描写もバランスよく笑いや感動やロマンスを安定して提供していたと思う。

主演のジョゼフゴードンレヴィッドは草食系男子から肉食系AV大好き男までこなせる俳優だが今回は特にその演技に魅入ってしまった。フランス語訛りの英語もかなり様になっている(知らないけど)し、夢に対して貪欲で傲慢だけどどこか人を惹きつける魅力のある主人公を好演していたと思う。ドンドンと仲間が増えていく様はまさに週刊少年ジャンプの主人公を思わせた!!思えばルフィもナルトも悟空もみんな命知らずだ(笑)
また彼の師匠役はよく見れば『アイアンマン3』であのマンダリンを演じていたベンキングズレーではないか!こんなに多言語を話せるマルチ俳優だったとはあのマンダリンからは予想できない!

とにかく予想もしていなかった良作にびっくり仰天。
最後はもちろん逮捕されるのだがこんなに誇らしい顔で逮捕され周りの人々に称賛されながら見送られる逮捕シーンが映画史上有るだろうか…。いい映画を観たと思った瞬間だ。
1月に公開されたときはもう一度IMAX3Dで鑑賞しようかなというくらい劇場で観るべき映画だと思った。
ただし、高所恐怖症の方はそのリアルさに気絶してしまうかも…?

~オマケ~
残念だったこと:
隣に座っていたおばさんは開始数十分で寝オチ。
う~んせっかくお金を払ってるのにもったいないなぁ
なんて思ってたらラスト十分程で起きて隣の旦那さんに
「これ面白いの??」
と…。
若干イラッとしましたがそういう映画の楽しみ方もありますよね(多分)

良かっこと:
あとこの劇場の同じスクリーンにおそらく何人かのFilmarksユーザーさんがいました!なんだか同じ映画を同じ劇場で、同じスクリーンで同じ日に、同じ時間に観れるなんて素敵ですね。
終演後の拍手がとても温かかったです。

ロバートゼメキス監督作好き、ジョゼフゴードンレヴィッドのファン、そして”綱渡り”という夢を追い続けた男のその人生を少し見てみたいという方にはおススメの作品。