風来坊

レヴェナント:蘇えりし者の風来坊のレビュー・感想・評価

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
4.5
冒頭の川のシーン、森の中など環境ドキュメンタリーかと思うくらいの映像美。そんな美しい自然の中で人間臭い醜い争いが行われるという対比が面白かった。監督がこだわったという自然光を利用した演出も物語に適していて素晴らしいと思います。

イリニャトゥ監督という人は個人的には奇をてらう監督というイメージが個人的にはあってあまり好きじゃないんですが、この映画は復讐にサバイバルがおまけに付くというシンプルなテーマでほぼ一本道な展開で珍しいなと思いました。それでも監督お得意の色々な人間が絡み合う演出は健在でした。

敵は人間だけじゃなく過酷な大地で人の生存本能が試される展開は迫力満点で飽きなかったですが、やっぱりちょっと長いような気もします…。役者さんが鼻水垂れてたり、実際に過酷な状況でロケを行ったらしく苦労が映像から伝わって来ますね。

レオナルド・ディカプリオさんはこんなに上手い人だったけ?と思う程の鬼気勝る演技で素晴らしかったですが、それにも増してトム・ハーディさん演じるフィッツジェラルドのうんこ野郎ぶりはホントにスゴかった。序盤の口を開けば不満ばかり…イライラさせられました(゜ロ゜)

高台から水辺を見下ろした後、水辺で水を飲むシーン。ホントは高台から這って水辺に行った筈なのにそのシーンは無くまるで瞬間移動したかのよう…過酷な状況が伝わってくるシーンだと思うので這って水辺に行くシーンはあっても良かったんじゃないかと思うし、人の身体って丈夫だなぁと主人公の超人的な回復力にやり過ぎ感を感じたりツッコミ所も結構あります。熊のシーンの落ちた親熊を子熊が見下ろすシーンの監督のこだわりようにちょっと笑ってしまう。

卑屈な私はどうせアカデミー賞を獲った映画なんて芸術性がどうとかなんでしょ?って思っていましたが、想像とは違い非常に見応えのある泥臭い人間ドラマで荒々しい映画でなかなか良かったと思います。冒頭の「息が続くまで戦うのだ」という台詞が伏線というかテーマだったのかなと個人的には感じました。
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