うのすけ

くちびるに歌をのうのすけのネタバレレビュー・内容・結末

くちびるに歌を(2015年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

すべての15歳だった人に贈る映画。
33歳の私。

15歳の自分が思った通りの30歳になっているだろうか?
15歳に自分に胸を張って生きているだろうか?
 そんな問いが浮かぶ作品。
歌を通して自分を生き方を振り返ることができる素晴らしい映画だった。


小学校1年生の時の記憶がよみがえった。
西日が差し込む少し熱くなり始めた音楽室、4つ上の児童が音楽室で合唱曲を歌っていた。当時合唱というものを知らない小学1年生だった7歳児には11歳のハモった歌声と光景は心に刻まれた。
「マイバラード」

「心燃える歌が 歌が きっと君のもとへ                      きらめけ世界中に 僕の歌をのせて                      きらめけ世界中に とどけ愛のメッセージ」

力強く、はっきりと伝えるサビの部分が大好きだ。
歌っていた先輩たちの顔が26年たった今でも思い出せる。
大好きな曲。


作中では歌を通して人間の内面が映し出される。
亡くなった母親を回顧して、生き方を考える少女
人を元気にするためにピアニストになりたかった15歳と今を照らし合わせる教師
なぜ自分が生まれたのか、兄との関係性から内省する少年。


少年の手紙の内容
「僕には将来に対する不安がありません。自分が存在している理由がハッキリしているから。でもたまに兄を疎ましく思うことがあります。」
 
手紙は自分を素直にする。
素直な自分と素直になる前の自分、両者が自分を中心に介在した状態になる。
本音と存在意義を明確化した人間は強い。
うのすけ

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