ボナペティ男

ストリートファイター 暗殺拳のボナペティ男のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

◆1987年、和歌山県・剛拳の道場で日々鍛錬を続ける“リュウ(マイク・モー)”と“ケン(クリスチャン・ハワード)”。剛拳が伝えようとする暗殺拳には、重く暗い過去があった。

 キャラクターの再現がとてもいい。マイク・モーはストⅡのキャラクター選択画面で見たリュウがすんなりと思い浮かぶ。ケンも金髪に黒眉だったりしてグッド。しかも両者ともに非常に動けるために、スローモーションの多様は気になるものの、アクション・シーンがとても面白い。リュウvsケンがちゃんと2Dゲームっぽく撮られてるのはとても素晴らしいことなんじゃないかなって。
 剛拳の見た目の変化は年齢とかじゃないレベルで別人になってて笑っちゃう。そして、不思議なのが日本人俳優さんの滑舌が危ういあまりに、ジョーイ・アンサーの日本語がよく聞き取れて困惑する。玄理はお綺麗でしたね。ハキハキ喋ってくれるおかげで一番聞き取れた。
 伊川東吾の師範ポジは『NINJA』でもあってすごい既視感。
 監督と豪鬼役で出演するアンサーのストリートファイター愛を感じるし、アンサーは過去にケン役のクリスチャン・ハワードと一緒に出演・アクション監修にと関わりを見せた映画の邦題が『ストリート・ファイターズ』というのも運命を感じる。クソ邦題だけど。しかも映画もそんなに面白くなかったけれど。
 『NINJA』も『ストリート・ファイターズ』もスコット・アドキンス主演映画で、本当に不遇だと思う。 
 波動拳が「波動拳」じゃなくて「How do you, Ken」に聞こえるのが惜しい。

 殺意の波動に目覚めたリュウをファイアー昇竜拳を差し込み、自我を取り戻させるケン。リュウの物語かと思ってたけれど、ケンの精神的な成長もありつつ、総じて暗殺拳と殺意の波動を巡る物語なんだなぁって。
 豪鬼の懸念などもありつつ、長く側で見守ってきたリュウとケンが旅立つのを剛拳が涙を堪えて見送るところなんかグッときちゃったりもして。

 要するに、殺意の波動って堪忍袋の尾が切れちゃうってことなのかな?
 よくネットの海で見た「キレると何するかわからないぜ?」みたいな痛々しいアレを増長だか助長させるワードだと思うし、子供の頃の僕もそんなのに憧れてた痛ガキだったの思い出して、心が痛い。

 ストリートファイターを実写にしてやろうという熱意はめちゃくちゃに感じた。暗殺拳を巡るドラマだったり、友情や成長の物語もあったりと面白かった部分もあった。ただ全体的にチープ(なのはしょうがないんだけれど……)で、冗長な展開がテンポ感を崩していて勿体ない。エンタメではなくて、ファンとしての愛を具現化した作品だと思います。
ボナペティ男

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