Maoryu002

恋愛手帖のMaoryu002のレビュー・感想・評価

恋愛手帖(1940年製作の映画)
3.6
ニューヨークで働くキティ(ジンジャー・ロジャース)は医師のマーク(ジェームズ・クレイグ)に求婚され、これを受ける。しかしその夜、かつての恋人ウィン(デニス・モーガン)が現れ駆け落ちを迫られる。心動くキティだったが、貧乏な育ちから富豪のウィンと恋に落ち、家柄の違いや不誠実に苦しんだ半生を振り返るのだった。

思いのほか深い人間ドラマだった。
監督はサム・ウッド。「チップス先生さようなら」「打撃王」と同様、淡々と出来事が語られていくんだけど、時系列の配置が上手で、いくつものパーツがラストに向かって繋がっていく。

ただ、恋愛モノとして観ると、起伏がなくてけっこう退屈だ。
作中では不況、政治の転換、格差社会という社会環境の中で、女性の自立が強く語られていて、一人で決断し、道を切り開いていくキティの独立心とプライドは今観ても力強さを感じる。

特に、“トム・フォイル、この子は闘士になるわ” とカメラに自らの決意を語る場面は感動的で、スカーレット・オハラを思い起こさせた。
一方でウィンの意気地なさや優柔不断ぶりにはイライラするし、マークものんびりしてる分、キティの逞しさが際立っている。

ジンジャー・ロジャースにオスカーをもたらすに相応しい役だった。
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