福福吉吉

沈黙ーサイレンスーの福福吉吉のレビュー・感想・評価

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
江戸時代の日本ではキリスト教が厳しく弾圧を受けていた。そんな中、ロドリコ神父とガルペ神父は日本で消息を絶ったフェレイラ神父を探すために長崎に密入国する。隠れキリシタンの人々に助けられ、布教活動を行う2人だったが、2人のいる村に長崎奉行の一団が現れ、キリシタンへの取り締まりを行う。村人たちが苦しむ中、2人の神父は救いのない状況に自身のキリスト教への信心を問い、悩み続ける。

◆感想◆
ストーリーのテンポは悪くないが、本作のストーリーの大半を占める江戸時代のキリスト教への弾圧のシーンが非常に重苦しいものになっているため、観ていてかなり長く感じました。ストーリーの興味を絶つものではないですが、早く楽になりたい気持ちになりました。

ロドリコ神父(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ神父(アダム・ドライバー)は尊敬するフェレイラ神父(リーアム・ニーソン)が棄教したとの噂を知り、日本へ向かうことを決めます。鎖国状態の日本にわざわざ密入国しようとしたのですから彼ら2人にとってフェレイラ神父の棄教があり得ないものだったことが良く分かりました。

しかし、ロドリコ神父とガルペ神父は日本に渡ってから、隠れキリシタンの信心深さに自身の信教に間違いがなかったことを確信しますが、それも束の間で長崎奉行たちのキリスト弾圧のシーンがこれでもかというくらい長く続きます。隠れキリシタンとして捕らえられた人々は悉く殺されており、当時の日本の異常性やキリスト教への敵意がよく表れていました。

本作のキー・パーソン、キチジロー(窪塚洋介)は最初に2人の神父の密入国を手伝った人物であり元々キリシタンだったが、家族が皆殺しにされたことから踏み絵を踏んでしまいます。彼は度々、2人の神父を裏切る行動をとるのですが、その一方で神への信心も捨てきれずにいて、本作の宗教の在り方を試す人物として観ていて興味をそそりました。

私は特に深く宗教を信奉していないので、キリシタン弾圧に対して信者が助かるために「踏み絵」をしたからといって神様も怒らないだろうと思ってしまうのですが、それでも頑なに踏み絵を拒み、死を選んだ人々がいたことに私には理解しえない境地があることを感じました。かなり重い作品でしたが、観てよかったと思います。

鑑賞日:2024年4月25日
鑑賞方法:NHK BSプレミアム
(録画日:2023年9月29日)
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