◆あらすじ◆
1941年、第二次世界大戦中のチェコスロバキアはナチス・ドイツに占領されていた。そんな中、ヨゼフとヤンはナチスの幹部であるハイドリヒを暗殺するためにチェコスロバキアに潜入する。2人はその地での協力者とともにハイドリヒの行動を調べ始める。
◆感想◆
本作は第二次世界大戦中、イギリスとチェコスロバキア亡命政府が実行したナチス幹部のラインハルト・ハイドリヒの暗殺作戦を描いたものになっており、作戦実行者のヨゼフとヤンやそれに協力したレジスタンスたちの心情が伝わってくるものになっていました。
ナチス・ドイツに支配されたチェコスロバキアに落下傘で侵入したヨゼフ・ガブチーク(キリアン・マーフィ)とヤン・クビシュ(ジェイミー・ドーナン)は最初から危なっかしく、よくナチスに気づかれなかったものだと感じました。2人は若さもあって作戦実行を頑なに固辞しており、現地のレジスタンスが難色を示す中、ハイドリヒ暗殺のために行動を開始します。
ヨゼフとヤンはナチスを目を逃れるために恋人役にレンカとマリーを連れてハイドリヒの行動を追うのですが、ヤンはマリーに惚れて作戦前に結婚してしまいます。ヨゼフもレンカに対して好意的で、観ていてそんなことやっている場合かと思いました。それでも彼らにとってその一日一日が大事で、その日を必死に生きた証なのかもしれないとも思いました。
本作ではラインハルト・ハイドリヒの内面などは一切描いておらず、ハイドリヒ自体の出演シーンも少ないです。あくまでヨゼフとヤン側に立ったストーリーとなっており、この点は特に気になりませんでした。
ハイドリヒ暗殺作戦の実行シーンは緊迫感があり、かなり大胆で観ていて玉砕覚悟の特攻に近いものを感じました。ヨゼフとヤンが実行にあたり、死への恐怖、成功への不安など様々な気持ちが入り混じった表情を見せており、見ごたえがありました。
本作が暗殺作戦実行までなら大団円なのでしょうが、彼らのその後に非情な結末が待っていました。彼らの行為に対してナチス・ドイツは作戦実行者への追及とチェコスロバキアの人々への報復が行われました。拷問などナチスの非情さがしっかりと描かれていて観ていて辛かったです。チェコスロバキアの人々にとってハイドリヒ暗殺作戦が良かったのか少し疑問に思いました。
歴史的事実を描いた作品ということもあり、ストーリー自体は知られたものなのでしょうが、その中で生きた人々の心情が伝わってくるものになっており、観て良かったと思いました。
鑑賞日:2024年5月21日
鑑賞方法:U-NEXT