福福吉吉

エクトプラズム 怨霊の棲む家の福福吉吉のレビュー・感想・評価

3.5
◆あらすじ◆
1987年のアメリカ、末期がんの息子のマットの治療のため、キャンベル家は病院近くの屋敷に引っ越した。しかし、その屋敷は過去に葬儀場として疲れており、マットは度々、禍々しい何かを見るようになった。マットは病院で知り合ったニコラス神父に相談するが...。

◆感想◆
引っ越した家がいわくつきであったというホラーとして典型的なものながら、そのいわくの正体の部分でしっかりと過去の経緯やその恐ろしい目的を描いていることで、興味を欠かない展開を作り出しており、また、実話に基づいた作品であることでリアリティの部分を底上げしている。

ストーリーの軸を息子のマット(カイル・ガルナー)が担っており、日常シーンで末期がんによる嘔吐などの症状で顔面蒼白の状態となっていて、観ていてかなり重いものを感じた。母のサラ(ヴァージニア・マドセン)は息子の治癒を信じて懸命にサポートする姿も必死さが伝わってきて、ホラー要素抜きにしてもかなりシリアスな展開で興味深かった。

いわくつきの屋敷に引っ越してから、マットは身体にメスで文字を刻むシーンなど禍々しい様子を度々見るとともに、マット自身が狂気に煽られるようになり、マット一人が全ての不幸を背負っていて、観ていて可哀そうに思えた。

しかし、マットが病院でニコラス神父(イライアス・コティーズ)に出会ったことでストーリーが謎の解明へ動き出します。ここからの流れが秀逸で、単純に終わらせずに最後にもう一度、盛り上がる部分があって良かった。

ホラー演出については残酷なシーンは少ないが、痛々しく感じる部分もあるので苦手な方には不向きな作品だと思う。全体としてみるとオカルト演出に傾倒している。

マットの獅子奮迅の活躍が見どころとなっており、その部分を最後まで緩めず保ったことで作品としてなかなかの良作になっているように思う。なかなか面白かった。

鑑賞日:2024年5月24日
鑑賞方法:U-NEXT
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