爆裂BOX

パラノーマル・エクスペリメントの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.4
失踪した友人ジェームズの行方を捜していたジャーナリストのアンは、CIAが極秘に行っていた生体実験の存在を知る。そして遺棄された実験施設を発見するが…というストーリー。
なんちゃって「パラノーマル~」のタイトルがついてますが、CIAがマインドコントロールの効力を調べるために一般人を対象に事前の同意なしにLSD等の薬物を投与したり拷問まがいの実験を行ったMKウルトラ計画を題材にしたオカルトホラーです。
Mkウルトラ計画を調べていたジェームズは実験に使用されていたという薬物DMT-19を極秘入手し服用するも、謎の音声が聞こえ、何者かが近付いてくるような幻覚を見て発狂して失踪。疑われた友人レニーもまた失踪し、大学時代の友人でジャーナリストのアンはジェームズの行方を捜して手掛かりとなる作家ブラックバーンの元に向うが、という内容です。
カメラマンによって撮影されている完全POVという訳じゃないですが(一部そういうシーンもありますが)、事件を調べるアンに密着取材しているようなドキュメンタリー形式で描かれています。
MKウルトラ計画やラジオや無線で聞こえる謎の数列を朗読する「乱数放送」等陰謀論好きやオカルト都市伝説好きならわくわくするような要素散りばめられて、それらを手掛かりにアンが謎に迫っていく流れも面白く見れました。合間合間に挟まれる当時の実験映像も嫌~な感じを見せてくれます。
主人公のアンもかなり可愛いいですね。また、「羊たちの沈黙」のテッド・レヴィン演じるカギを握る破天荒な作家ブラックバーンのキャラも中々に強烈で楽しいですね。
後半からはラブクラフトの「彼方より」を下敷きにした展開になりますが(作中でも言及される)DMT-19を服用したものを受信機として憑依し、こちら側へ来ようとする「奴ら」のヴィジュアルも不気味で、冒頭のジェームズの映像に映る血を流したジェームズや振り返ったら映る黒目で真っ白なカーリーやタンクについてる丸い窓覗き込んでたら向こうから覗き返してくる「何か」等、一瞬アップで映る精神的ブラクラのような此方の精神すり減らしてくるビックリ演出は絶妙にタイミング外してくるので結構ビックリしたし怖かったです。ハッキリ映さない所も恐怖と不気味さ盛り上げてくれます。
最後は投げっぱなしというか、視聴者に判断をゆだねる結末でしたね。DMT-19服用してないレニーやアンにも「奴ら」が見えて迫ってきた理由や(アンは「飲ませてない」って言われたのも又嘘だったかもしれないけど)、最後に「彼」も被験者だったことが分るのはちょっと驚きましたが(後遺症であんなキャラに?)それも果たして大きな意味あったのかもわかりませんし。
このタイトルで敬遠されそうですが、全編に漂う不気味で不穏な雰囲気や結構精神的に来そうなビックリ演出など捨ておくには惜しい作品ではありましたね。