HidekiIshimoto

肖像のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

肖像(1948年製作の映画)
4.0
黒澤明が『野良犬』『酔いどれ天使』と同じテーマを木下恵介のための脚本にすればばこうなる。なんだか主要成分は優しさですのカウリスマキ映画観てる気分。いや無人島に一本だけ持っていくなら『東京物語』と断言のカウリスマキだからこっちらへんが元成分になるのか。木下、黒澤、カウリスマキ、つまりみんな小津チルドレン。なんて素晴らしい国際親子映画兄弟。小津・木下・黒澤映画でお馴染みの素晴らしいあの人この人。みんなカウリスマキ映画に出てきても違和感ない感じ。ちょっと過剰なくらいの優しさ成分だけど、ストレス性頭痛にはバファリンより効き目あると思う。人間不信性自暴自棄症の妾女を完治し、不信人間代表の小悪党にまでじわっと効き始めるラスト。一切映らずとも鑑賞者の脳内に神々しく浮かび上がる肖像画。地味だけど巧みな巨匠二人の映画愛にやられた。ちひろさんにやられた人にも観てほしい元祖思いやり映画。