肖像の作品情報・感想・評価

「肖像」に投稿された感想・評価

黒澤明×木下恵介作品
近所のラジオから流れる音楽でダンス始めてしまうシーンがよかった
RYUYA

RYUYAの感想・評価

4.0
不動産ブローカーの男は、借家の画家一家を追い出すため、隣家に愛人と共に暮らし始める。
画家一家は愛人をブローカーの娘と勘違いし、「お嬢さん」と愛称し、皆優しく接する。
家長である迷走中の画家は彼女をモデルに肖像画を描きたいと申し出て、定期的に家に出向くことになるが、彼女の心は嘘の自分と本当の自分の狭間で揺れ動き...

という話。筋書きだけでこの秀逸さ。脚本・黒澤明。さすが。
そして、この人間の本質に迫るストーリーを、意外にも軽やかに撮り上げた木下恵介もさすが。
まさにドリームチーム。


...完成した肖像画は新聞にも載るような話題性で、ラストシーンは美術館へ。
そのカットの連なり、編集のタイミング、群衆、カメラの動き、そしてラストカット...
完璧だった。クソ最高。
独り言

独り言の感想・評価

3.5

このレビューはネタバレを含みます

人はなりたい自分になれる。
好きだなぁこういう話。
小品だけどいい。
rico

ricoの感想・評価

3.3
愛人生活をしてる井川邦子が、心優しい清貧画家家族といることで変わっていく物語で、画家に見抜かれるかも、と思い悩んでいく井川の、実は芯の優しさを見抜いている画家、っていう物語はいいなと思うのだけど、、、。
悩める井川邦子の横顔など、ふとした瞬間がとても美しい。
木下恵介監督、黒澤明脚本。若き日の2人が組んだ最初で最後の作品。重くなりそうな主題を明るく軽やかにまとめている傑作。主人公ミドリは不動産ブローカーの妾。ブローカーの買った自由が丘の物件に住むことになった。借家人を追い出すためである。借家人は画家で妻、まだ復員していない長男の嫁と子、娘の5人。しかし住んでみると借家人一家は皆いい人で、愛人のミドリをブローカーの娘と勘違いし「お嬢さん、お嬢さん」と持ち上げるのですっかりその気になる。更に画家はミドリを絵のモデルにしたいという。ミドリの中に何か影を感じるという。妾であることを隠して清楚なお嬢さんを演じて楽しんでいたミドリだが、モデルを務めるたびに画家の鋭い目が自分の内心を見破りそうで次第に落ち着かなくなる。
停電で真っ暗でも外に出て語り合い踊り楽しむ画家の一家。全員が明るく屈託がない。貧しいながらも正しく生きる家族に触れてミドリはいわゆる「ズベ公」の自分と純粋だった頃の自分との間で葛藤する。
戦後の不景気の中生きる術として男の世話になるという道を選択し、いつの間にか贅沢な、しかし堕落した生活に馴染んでしまったが、彼女が肖像モデル用に選んだ着物はシンプルな銘仙。これは遠い昔母親に買ってもらったものだった。その頃の自分に戻りたい。
明るさと思いやりに満ちた画家の家族の振る舞いは美しく、当時の軽はずみな若者たちにもよいお手本になったのではないか。私も見習いたいところが沢山ある。
この映画のもう1つ興味深いのは1948年頃の東京の風景。自由が丘駅前は高架線で駅をでて右側に金物屋が先頭の自由が丘デパートがあるが、この作品では高架線の駅、駅前から続く金物屋という並びは変わらない。デパートはまだなく下町めいていて駅前を抜けると遠くに山々が望め、開発前ののどかな風景がみられる。この映画の核となる家はなんと20万円!あーー、私のおじいちゃん、退職金を息子たちに分けたりしないで東京に土地買ってくれていれば……!と先見の明のある人を羨ましく思う。
ラストの美術館のシーン、見たことのない建物だなぁと調べたところ旧東京都美術館だった。今は取り壊されたのでこちらも貴重。
先述した駅前の金物屋にはやかんが沢山吊るされ、各テーブルにもやかんは必ずある。やかん天国な映画でもあり、素晴らしい。尺も短いしHuluでサクッと見られる。