時はローマ時代、皇帝ティベリウスが支配する帝国の近隣の森に伝説の単眼巨人サイクロプスが出現。退治を命じられた英雄マルクスが生け捕りにすることに成功するが…というストーリー。
ロジャー・コーマン製作による歴史モンスターアクションです。監督は「クライモリ」の三作目からシリーズ手掛けたデクラン・オブライエン。
見世物としてローマに連れてこられるサイクロプスだったが、逃げ出して市内で暴れ始め、それに乗じて奴隷たちが反乱を起こし逃げようとする。マルクスはサイクロプスを再び捕らえ、皇帝の命令で奴隷たちを制圧して捕らえるも、彼を疎む皇帝と副官によって濡れ衣を着せられ剣闘士に身を落とすことになる、という内容です。
サイクロプスは冒頭から登場しますが、そのCGはかなり安くてショボい。見た目もジャケット通りのブサイクな造形です。ただ、出し惜しみなく登場して暴れまわって人殺しまくります。といっても殺すのは自分を捕えようとする兵士達やちょっかいかけて来た相手、嫌な奴が中心で、積極的に人襲うというよりは自己防衛のために人襲ってる感じですね。冒頭で殺された二人も、サイクロプスが獲ったウサギやヤギ盗もうとしたからだし。また見た目と違って知能も高いらしく、看守殺して鍵盗んで檻から逃げ出したり、「ニク」や「ジユウ」といった簡単な単語喋ったりもします。サイクロプスは肉食で、腕喰いちぎったり顔噛み裂いたり、結構血飛沫飛び散るグロ描写多めです。
ストーリー展開は単純にサイクロプス倒して終わりではなく、サイクロプス自体は結構アッサリ捕まって、脱走しようとしますが、その騒ぎに乗じて虐げられていた奴隷たちが反乱起こして脱走しようとしたり、罠にかけられて守備隊の隊長から剣闘士になった主人公の闘技場での自由を勝ち取るための戦いがメインで描かれる「グラディエーター」みたいな展開になってきます。セットや衣装も安っぽいですが、前半はローマ人たちの非道っぷりや虐げられる奴隷の描写多めですね。でも、サイクロプスが逃げ出して市内で暴れてくれるのでモンスター物としての楽しさも忘れず盛り込んでる所は流石ロジャー・コーマンといった所か。
後半は闘技場メインになって、主人公がサイクロプスがからかわれてるの止めて肉を与えてちょっとサイクロプスの間に友情みたいなの芽生えるかも?といった描写もありますがここはもっとしっかり描写したらもっと盛り上がっていったんじゃないかな。
主人公マルクスは守備隊の隊長で英雄ですが、最初から何かチャラい感じだし、後半でサイクロプスに餌付けするけど、「俺は明日勝利したら自由になれるけど、お前は自由にはなれないんだ」とはっきり言っちゃったり、魅力はない主人公だったな(笑)女奴隷のバルバラとも捕まえた時は唾吐きかけられたりしてたのに、娼婦として現れた時はいきなり仲良くなっちゃって急すぎない!?って思いましたね。
エリック・ロバーツが皇帝演じてますが、やっぱりこの人はこういう悪役似合うな。副官も憎々しくて良かったです。
クライマックスでサイクロプスと戦う事になった主人公が敗北して殺される…という場面からのサイクロプスと共闘して皇帝たちに反乱起こしていく展開は中々熱くて良かったですね。というか、全て終わらせたのサイクロプスのような物なのに、主人公もあんまり顧みないで「共和制最高!」ワー!!って流れはサイクロプス可哀想すぎないかと思いましたよ。というかあの民衆あんなに歓声あげてるけど、お前らさっきまで主人公が殺されそうなときにも歓声あげてただろ(笑)
全体的に激安な映画ではあるんですが、モンスターも絡めた反乱を描いたB級映画としてはそれなりに楽しめるんじゃないでしょうか。