皿と箸

夜の片鱗の皿と箸のレビュー・感想・評価

夜の片鱗(1964年製作の映画)
3.8
まず冒頭のクレジットのフォントと色使いに始まり、繁華街のネオンが光る中で謎めいた女に惹かれた男が声をかける。
この画力で引き込まれてしまう。

女の歴史が回想されるにつれ、
男と女の関係性は一般論では語り切れない事を思い知らされる。

こんな男には出会うべきではなかったのかもしれない。でもそこには確かに愛があった。
愛を生活の犠牲にしてまで続いてしまう必然性があった。愛は歴史。
ほかの人にはわからない。

男性機能を失うという事は見下すものが無くなるという事を象徴する一転した甲斐甲斐しさ。
男にとっては車も時計も女もチンポコ比べの対象でしかない。消費し尽くすと機能は失われる。一方で女は理性では受け入れたくないものを受け入れられてしまう心身の許容力と社会性との矛盾を内包する存在として描かれ、それは最終的に一つの身体に留めることは出来なくなる。
愛が歴史を紡ぐという事は言葉を超えるという事。

愛する人のために死ぬ事が出来るということは愛する人を殺す事が出来るということでもあるのだ。
皿と箸

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