チッコーネ

彼の見つめる先にのチッコーネのレビュー・感想・評価

彼の見つめる先に(2014年製作の映画)
3.2
意地悪な見方をすると「タダのLGBT映画ではもはや注目を集めなくなっている昨今、主人公に視覚障害をプラスした脚本を挙げてきた」と、言えなくもない。
テーマが多過ぎる分、それぞれに深みが足りず、浅く切り取っただけという印象も拭えなかった。
また「現実に存在しているであろう当事者たちに、希望を与える」という役割も、果たせない宿命である(本編中でも描かれているが、彼らには映画というメディアが「見えない」から)。

とは言え愛すべきキャラクターを作り上げた役者たちと、その魅力をソフトに引き出した映像には力もある。
かなりご都合主義的な本編の展開より、冒頭でガラスに口づける主人公の姿の方が、僕の裡に深い共感を呼び起こした。